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3つの権利宣言

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なかま権利宣言

権利とは、ある物事をしてよい、またはしないでよいという資格である。特定の利益を主張し、自分のものにし得る力となるものでもある。他人に対して期待し要求できる正義である。
 
(前文)
私たちは、一人の人間として、地域の中でより良い暮らしを築きたいと願っています。
私たちは、一人ひとり市民として、社会資源を利用し活用し、体験し、元気で楽しくゆとりを持っていきたいと願っています。
私たちは、夢・希望を持ちながら、社会に働きかけ、自分らしく生きたいと願っています。
 
第一章(人権)
  1. 年齢・性別・障害の種別や程度を超えて、一人ひとりを尊重してほしい。
  2. 個人の秘密を守られ、私的なことについて干渉しない、されない。
  3. 発言の自由を認めてほしい。(言論の自由)
  4. 納得できるまで説明を受けたい。(知る権利)
  5. 納得できるまで説明を受けたのち、自分で選択したり、決定したい。
  6. 男女交際の自由。
 
第二章(労働)
  1. どんなに重度の障害をもっていても働きたい。
  2. 自分に合った仕事をしたい、選びたい。
  3. 環境の整ったところで明るく楽しく仕事をしたい。
  4. 給与を保障されること。
  5. 週休2日制を保証されること。
  6. 休み時間を求められること。
  7. 自力出勤できない人の送迎を求める。
  8. 納得できない不当な退所や解雇の場合訴える。
 
第三章(生活)
  1. 暮らしたいところに暮らしたい。
  2. 普通の生活を送るために、援助・介護を一人ひとりの必要に応じて受けたい。また、場合によっては援助・介助を拒否することもできる。
  3. 自分らしく自分の生活リズム・生活スタイルを保って生きたい。
  4. たまには一人の時間も持ちたい。
  5. 自分自身の記録内容(閲覧を含む)を知ることができる。
  6. 自分の財産を管理し、守りたい。
  7. 不当に出ていけと言われた場合には居すわる。
 
第四章(文化・生きがい)
  1. 地域交流への参加と参画(計画段階から参加する)の自由。
  2. 学習を求め、受け、自分自身をたかめる文化的活動の自由。
 
第五章(その他)
  1. 施設(事業所)の会計(運営)を知る権利、報告を受ける権利をもつ。
  2. 健康を維持するために医療を受ける。
  3. 相談できる専門機関を利用する。
  4. 個人の信仰の自由は保障される。
  5. 各自治会を基になかま連合会を組織する。
 
以上のことを”なかま権利宣言”といたします。

親の権利宣言

一人ひとりの人間が、いかなる差別も受けることなく尊重され、健康で文化的な生活を送ることは、憲法で保障された基本的人権です。しかしながら、障害をもつ子どもの親は、その権利を充分に保障されていません。
 
障害をもつ子どもの親は、あらゆる病院、療育施設、訓練施設、保育施設を走り回り、自分を犠牲にして、子どもの成長発達を願ってきました。しかし福祉施策の不十分な中で、周囲の無理解や偏見に苦悩し、家庭崩壊すら起こりかねない状況もあります。親に対する施策がないことは、家庭の中でもとりわけ母親の肉体的精神的負担を増やすばかりで、自分の時間などもできないのが現状です。まして社会参加など、もっと難しくなってきます。

今後、障害をもつ子どもの親が、我が子が地域の中で安心して生活していけるよう見守りつつ、幸せな人生を送れるよう、ここに親の権利を宣言し、同時に義務も果たすことを誓います。
 
  1. 親は、ゆとりをもち、人生を楽しく生きる権利がある。
  2. 親は、働きたいと願うとき、働ける権利がある。
  3. 親は、療育施設の方針や学校の教育方針、福祉施設の経営方針づくりに参加すると共に、福祉施設やサービスに関する情報を知る権利がある。
  4. 親は、子どもの人間性豊かな成長を願い、求める権利がある。
 
これらの権利を求めるためには、親は常日頃より、様々な事について学ぶ義務があります。

職員の権利宣言

前文
私たちの労働は「人間の生きる力の発展そのものを目的とし、それは、この世に生まれてきたすべての人間が、誰であろうと、社会の一員として認められ、人間の名にあたいする生涯を営むことを保障し援助すること」ととらえています。
 
かつて、私たち福祉労働者は、聖職・犠牲・奉仕…という精神主義偏向の中で、他の職種より労働者としての権利を奪われてきました。そしてそのことは同時に、そこにいる私たちと同じ主権者である日本国民にほかならないなかまたちの権利を奪われていることにつながっていました。
この歴史を見たとき、私たちの権利の獲得がなかまたちの権利の基盤をつくり、なかまたちの権利を獲得していくことが私たちの権利を拡充していくことを示しており、事実それは、国民主権を基本とする民主主義、戦争放棄条項を中心とする平和主義、基本的人権の尊重という憲法の基本原理の中で発展してきたことをこれまでの歴史が証明しています。
 
いま、競争・能率・効率主義の社会の中で、人々は分散・孤立し、協同・共同は分断されてきています。
社会福祉の分野においても営利強化による管理強化・合理化とともに私たちの労働の“商品化”“マニュアル化”がすすむ中で、自分らしく働くこと、生きがいをもって豊かに暮らすことが脅かされ、ますます、なかまたちと私たちの統一的権利保障の矛盾が拡大してきています。
だからこそ私たちは先の歴史に学びながら、なかまたちとの要求を統一し、連帯・協同しながら、お互いのいのち・生活と権利を守り、発達を保障していかなければなりません。
 
私たちは、その職責を果たすため、人間として労働者としての権利はもちろん福祉の専門家としての権利を確立していくとともに、人間らしさ自分らしさを実現していく福祉をめざし、ここに「職員の権利宣言」を宣言します。
 
 
第1章(福祉労働者の責務と権限)
私たち福祉労働者は、憲法第25条で述べられている「①すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活場面について、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という“生存権と公的責任”の精神を限りなく貫くため、国民の中心的役割を担う。
私たち麦の芽福祉会職員は、乳幼児から高齢期までの障害をもつ人々、そしてその家族が地域の中で安心して豊かに暮らせるような社会が確立できるようなかまたちの成長・発達と基本的人権を保障し又追及していく責務を担う。
その責務の遂行のために、私たちは学問と研究の自由が認められ、一人の人間としての自主性・自発性・創造性が保障される。
 
第2章(労働者・市民・人間としての権利)
私たちが人間らしい生活をいとなみ、国民に直接責任を負って実践・研究・運動をすすめるために、労働基本権をはじめとする労働者としての権利、思想・信条の自由、表現の自由、政治活動などの市民的権利、人間としての権利はいっさいの留保なく完全に保障される。
 
第3章(実践の場を豊かにする権利)
施設・事業所(以下、施設と略)は、ひとりひとりのなかまが大切にされ、豊かな生活と発達が保障され、そして家族が安心してなかまをたくすことができる場でなければならないとともに、私たち職員が職務に誇りをもって、互いに尊重し合いながら、明るく元気に、心にゆとりをもって働くことのできる場でなければならない。
そのために施設は、なかまたちとその家族、そして私たち職員ひとりひとりの権利を尊重し、施設経営や施設運営に協議・合意を土台とした民主主義がつらぬかれていなければならない。
 
また、誰もが安心して暮らせる地域づくりを願う市民の声も反映される施設運営でなければならない。
 
  1. 豊かな実践を保障していくために、私たちは国・自治体に政策提案ができる権利が保障される。
  2. 豊かな実践を保障していくために、私たちは施設経営や運営の方針づくりに参画する権利が保障される。
  3. 豊かな実践を保障していくために、適正な人員が確保されなければならない。
  4. 豊かな実践を保障していくために、私たちは自らが所属する事業所だけでなく、全ライフステージの職員との交流・研修の場が保障されるとともに、様々な見地から学び、実践に活かしていかなければならない。
 
第4章(労働時間)
  1. 私たちが十分な自由時間を享受することによって、人間性を豊かにし教養を深めることは、人間らしさあふれる実践を創造する基本的条件である。
  2. 就業規則が著しく侵される勤務形態はただちに解消され、本来の仕事が勤務時間内に処理されるように必要な条件整備がはかられなければならない。
  3. 私たちは定められた休暇を請求することができ、休暇を保障していく上での人的整備がはからなければならない。
  4. 勤務外の時間は自由な時間として、決して干渉されることなく過ごす権利を保障される。
 
 
第5章(賃金・労働条件)
  1. 賃金は、労働者全体の賃金水準の向上を基礎に、職員とその家族が人間らしく、健康で文化的な適正水準の生活をいとなむ必要をみたすものとする。
  2. いっさいの賃金差別はあってはならない。
  3. 賃金・労働条件は、職員との協議・合意の上での決定が保障される。
 
第6章(身分保障)
  1. 福祉職員の雇用の安定と身分保障は、福祉と福祉職員のために不可欠である。
  2. 職員の採用、人事異動は公正・民主的に行ない、定員は正規の職員によって充当されなければならない。必要やむをえず臨時職員・パート職員を配置する場合は、その身分の確立と待遇の改善が保障される。
 
第7章(研修)
  1. 私たちは、研修の自由と権利は十分に保障されなければならない。そのために必要な諸条件が整備されなければならない。
  2. 職員の自発性を否定し管理統制強化をはかる研修や研修制度、指定研修などの押しつけがあってはならない。
 
第8章(両性の平等)
  1. 職場・家庭・社会において、真の両性の平等は保障される。
  2. 職員の採用・配置などは、事業所の事情を考慮しながらも平等かつ公正でなければならない。
  3. 母性保護の権利を拡充し、女性職員がほこりと生きがいをもち、安心して働くことができる職場環境が確立されなければならない。
  4. 婚姻、妊娠、出産したことを理由とする解雇や精神的・身体的に支障をきたす労働から保護される。
  5. 家事・育児・介護などの過重な負担については、公的福祉の充実、性別による役割分業の是正を基本にその解決をはかり、家庭、職場における責任と分担の両性の平等が確立されなければならない。
 
第9章(健康と安全・衛生)
  1. 職員が心身の健康を常に最高度に保持できるように、労働条件や職場環境の整備・改善・安全・衛生施策の充実がはかられなければならない。
  2. 精神的、身体的な負担による健康障害を防止し、ゆとりをもって仕事にとりくめるよう特別な休暇の確保や職場の困難度を考慮した定員の配置、職員の精神的・身体的状況に配慮した仕事の分担などが保障されなければならない。
 
2002年11月29日
社会福祉法人麦の芽福祉会職員一同
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